| Topic 第46話 二重事故、未だに変わらない体質 (02/11/17) またしても悲惨な事故が起きました。2002年11月6日午後7時45分頃、JR東海道線の線路内で、事故で怪我をした中学生を救助するために駆けつけた消防署員2人が京都発鳥取行きの特急「スーパーはくと11号」にはねられ、1人が死亡、1人が重傷を負いました。事故で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。まさに、あってはならない二重事故であり、JR西日本の安全管理、危機管理の甘さが厳しく問われるところであります。 まず、会社の体制として、マニュアルの不備や訓練の不備が挙げられます。事故時における社員の対応の手順を示したマニュアルはなく、「現場に着いたらその社員が責任者」だったといいます。しかし、やるべき内容は怪我人の保護、消防や警察との情報交換、指令への報告など多岐に渡っており、このような現場の経験まかせでは緊急事態に全てをきちんとこなすことが難しいのは明らかです。いったい、人の命を預かっているという自覚があるのかと、あまりのお粗末さにただただ呆れるばかりです。もう一つは訓練が不十分ではないかということです。マニュアルだけあっても意味はないしマニュアルがなくても、日頃から事故を想定した訓練を現場の社員全員が入念に行い事故に備えておけば、迅速かつ適切に対応できたものと思われます。 そして、これだけ大きな”欠陥”が見つかったわけですから、それ以外にもいろんな不備があるのではないかと思わずにはいられません。これまで当サイトのTrain Topicsでは、JR各社のずさんさと怠慢を何度も指摘してきました。事故などで電車が立ち往生しても「しばらくお待ちください」ばかりで何の説明もできていないこと、新幹線が途中で止まっているのにダイヤ優先で次々と発車させて立ち往生させたこと、電鈴を導入していないために運転士が客と車掌を置き去りにして発車してしまったこと。ちょっと思い出しただけでもたくさん出てきます。また、JR各社は路線数が私鉄より多く、複雑な車両のやりくりを行っており、ひとたび事故でダイヤが乱れるとそれが周辺の路線にまで広がって終日混乱するという「もろさ」は、何年も前から指摘されており、有効な対策を立てることは急務であります。直接死傷に繋がるようなものは少ないですが、こうした小さな”欠陥”の積み重ねが大きな事故を生むことは言うまでもありません。 今回の事故原因を少し細かく見てみましょう。救助に向かった社員は携帯電話を持っていたものの、指令の電話番号を知らず登録もしていなかったために十分な情報交換ができなかったこと、指令員が運転士や現場社員からの報告の言葉尻から勝手に判断して後続列車に通常運転の指示を出したことなどが個々の問題点として挙げられます。運転再開について最初の事故現場に駆けつけた警察署員に「外1本」などと専門用語を使って伝えたため、署員が内容を理解できず通じなかったことも事故に繋がった一因でしょう。しかし、これらは平常時からのコミュニケーションをしっかり取って確認を徹底していれば、それだけで大部分は解決できる問題だと思います。普段から意思疎通がきちんとできていなかったのではないでしょうか。 JR西日本安全対策室は、今回の事故について「消防や警察は到着時に運行状況を確認してほしかった。救助や捜査などのために要請があれば電車は止める。」と話しています。消防と警察に責任の一端をなすりつけるとは言語道断、筋違いも甚だしいです。消防や警察にも安全の確認をしてもらいたいんでしょうが、鉄道運行の安全管理は鉄道会社自身が行うのが当たり前でしょう。責任を持てなくてどうするんですか。これでは警察や消防の人たちの命を、手のひらに乗せているようなものです。 私は5年前の就職活動でJR西日本を受けて落ちました。だからと言ってボロクソに書いているのではありません。だからこそ、JR西日本にはしっかり頑張ってもらいたいのです。当時、面接試験では、説明能力と行動力があるかどうかを判断して合否を決めていました。私のようなどこか優柔不断で自信がないように見えた人は落としたわけです。逆に言えば、ここ近年は学科ではなく人物重視で人間力の優れた人材を採用していると思います。私が今の会社に入社したときの新人研修で、研修専門会社の担当者が「最近JR西日本の新入社員の質が良い意味で変わってきた」と話していました。まさしく、人間力のことなのでしょう。 ところが、会社としての体質は未だに何も変わっていないです。今回の事故についても、事故が起きてしまってからマニュアル作りに動かざるを得ない対処療法みたいな状況で、対策が後手に回っています。今まで問題が起きなかったから何も考えないのは間違いです。会社がもっと”攻め”の対策ができるように変革をしていかなければならないと思います。鉄道会社でなかったら、本当に会社存亡の危機になり得るだけの不祥事であったことを自覚し、全社員が一丸となって信頼回復に取り組んでいただきたいと強く望みます。今回の事故対策だけで終わるのか、危機管理全般に渡って見直し、マニュアル作成と十分な訓練を行うところまで踏み込んで取り組むのか、同社の基本姿勢を問いたいです。
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