
| Topic 第49話 本屋さんは悪くない! (03/02/23) 2003年1月21日に起きた京浜急行での踏切事故は、社会全体に重い課題を突きつけた結果となりました。中学生の少年が古本店で漫画6冊を万引きし、店長が警察に通報、警官が任意同行を求めたところ逃走し、遮断機をくぐって京浜急行の踏切内に入り、猛スピードで走ってきた快速特急にはねられた事故です。 テレビのVTRを見る限りでは、事故現場は川崎市川崎区で、京浜急行八丁畷駅近くの踏切のようです。TSR「THE京浜急行」を持っている人なら、どの場所かはだいたい見当がつくと思います。あの場所で、時速120kmで走行してくる電車にはねられたら、即死は間違いないでしょう。 この事故の後、店長は市民に激しく責められました。「配慮が足りない」「あなたの処置は間違っている」のほか、「人殺し」呼ばわりまでされたとのことです。直接店に文句を言いに来た人、電話で抗議してきた人合わせて約20件の苦情が寄せられ、思い悩んだ店長が一時は閉店を決意するところまで追い詰められたのです。 確かに人が一人亡くなったことは大きいですし、事故死のきっかけとなったのは万引きの通報だったことは事実です。しかし、本屋さんが責められるのは明らかにおかしいのではないでしょうか。
本屋さんも、万引きを見つけて機械的に通報したわけではありませんでした。店を出た少年を呼び止め、名前や学校名を聞きましたが、いくら聞いても自宅の連絡先を話さないし、学校名も嘘でした。連絡を受けて引き取りに来た中学校の先生は「うちの生徒ではない」。この状況では通報もやむを得ないのではないでしょうか。もし、呼び止められた時点で、少年が素直に謝っておれば、通報せずに済んだ可能性が高いと思われます。亡くなった少年とご両親には残酷な言い方になりますが、逃走して電車にはねられたことも含めて全部少年自身が悪かったわけです。
もう一つおかしいと感じたのは万引きに対する罪の意識です。先日の新聞の読者投稿欄に掲載されていましたが、テレビである有名人が「昔はのんびりした時代で、店でお金を払おうとしたけど主人が出てこなかったのでそのまま持って帰ってきましたよ(笑)。」のようなことを得意げに話していたそうです。「若いときには万引きの一つや二つはするもんだ」みたいな、まるで一つの”たしなみ、経験”のような意識が見え隠れするくらいです。そうした誤った認識が、「たかが万引きくらいで…」のような言葉を生むのでしょう。 数年前のドラマ(火曜サスペンス?)で、ある店が万引きを通報して、警官の静止を振り払った犯人が自殺、その店が人殺し呼ばわりされて苦しむと言うストーリーを見たような記憶があります。このときは、「こんな嫌がらせはドラマの中だけだろう」と思っていたのですが、これが現実になろうとは…、何かがおかしい社会としか思えません。 しかし、「謝罪文」の報道がなされて以降、流れが変わりました。全国から「あなたは悪くない」「閉店したら万引きを注意したことが悪いことになる」「閉店はあまりに気の毒」という声がたくさん届きました。本屋さんの系列チェーン本社にも激励のメールや電話が1250件以上も寄せられたそうです。ネット上では、店長の対応を支持する意見が社会現象のように広まっており、店長も「(非難とは)逆の考えの方が大勢いることを知った。それも考慮して今後を考えたい。」と語り、結局は圧倒的多数の激励に押される形で2月3日に営業を再開しました。
万引きには毅然とした対応をとり、きちんと通報してこそ犯罪防止につながり、結局は今回のような悲惨な事故の再発も防げると考えます。万引きを容認する風潮が蔓延しては、社会がさらにメチャメチャになり、もっと悲惨な事件を誘発することは間違いないでしょう。
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