| ○1995〜1996年 黎明期
トレインシミュレータは、かつては鉄道会社などで運転士の研修のために用いられていた業務用装置であり、一般の人が入手するには程遠い高価な値段であったと思います。
1995年、音楽館より発売されたTS第1弾となる中央線は、今では当たり前の等速映像ではなく、特急の運転席から撮影した映像をそのまま使用していたものの、実写映像を用いた運転シミュレーションが5,800円と言う十分な普及価格帯で発売されたことは、大変画期的なことでありました。
技術的には未熟さを残しつつも、試験を受けて合格すれば運転できる区間が増えていくステップアップ方式のストーリーにより、ファンのゲーム意欲が掻き立てられました。1996年12月リリースのTS相鉄では、ユニークな特別試験やクイズを導入、ボーナスとして連結ゲームが登場するなど、むしろ現在の作品よりも楽しくプレイできる要素もたくさん含まれていました。
○1997〜1999年 成長期
1997年になると、かの有名な「電車でGO!」ブームにより、電車の運転と言うものがゲームの世界で身近なものとなり、鉄道ファンのみならず多くの人がその魅力にはまったのであります。
これを受けて実写シミュレーションにおいても、各社が次々に”トレシミュ市場”に参入し、個性的な作品を発表しました。まず小学館プロダクションが東武東上線、南海ラピート、箱根登山鉄道など、この3年間で7作品をリリース。シミュレーションの完成度の低さがファンの間で問題視されましたが、トレシミュ市場を盛り上げるのに十分な働きをしてくれました。路面電車をシミュレートしたトミー「都電で行こう!」(1998年12月発売)も、試みとしては興味深い作品です。
また、1997年暮れにはジェイアール西日本コミュニケーションズによる「運転道楽」シリーズが、1998年夏には阪急電鉄による「発車よし!」シリーズが続々と発売され、市場は活性化しました。JR西日本の「運転道楽」は、乗客によるするどい”突っ込み”や面白い会話など、関西ならではのお笑い要素を盛り込み、1998年発売の大阪環状線に続いて1999年7月にリリースされた関西空港線は特に好評を得ました。阪急電鉄の「発車よし!」は何と言ってもトレシミュ初の車掌機能が注目されました。第1弾となった1998年リリースの阪急神戸線に続き、1999年3月発売には京都線、同年秋には宝塚線が発売され、阪急3大路線が完成しました。
しかしリアルさの観点からは、やはり音楽館が他社を圧倒しました。特にDirect
Soundによる滑らかな走行音の変化など音質面は素晴らしく、大きなアドバンテージとなっています。
また1997年12月リリースの西武新宿線では、Intel
Indioビデオドライバの導入により、TS京急など従来作品で不評だった走行映像の粗さが大幅に改善されました。1998年7月発売のTS阪神ではVVVFモータ音を忠実に再現、同年12月にリリースされたTS山手線ではシリーズ初の車掌機能や乗車率のシミュレートなど、作品を追うごとに確実に再現技術が向上していきました。”トレシミュ”流行のピークとなった1998年には、名鉄@・阪神・北海道@・山手線となんと4作品がリリースされ、パソコンの普及も手伝い、市場が大きく広がっていきました。
音楽館は早期の段階から従来のCD-ROMだけでなくDVDにも注力、1999年にTS南フランス・TS山手線のDVD版2作品を発売し、媒体の容量増による走行映像の拡大などに寄与しました。しかし、当時はまだDVDドライブを搭載したPCは少なく、今から考えるとやや勇み足だったかなと言う印象は残りました。
(2000年以降についてはPart2で書きます。) |