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Topic 第89話 南海高野線ダイヤ検証Part1〜徹底した特急誘導〜 (06/03/05) 2005年10月16日、南海高野線でダイヤ改正が実施されました。しかし、利用者からは「ダイヤ改正前より不便になった」との声が多く聞かれます。今回のダイヤ改正で何が問題なのか、弊サイトでじっくり検証してみたいと思います。 ●ダイヤ改正の概要 南海電鉄のニュースリリースより、まずはダイヤ改正の概要を見てみましょう。
(1)特急の利便性向上
(2)橋本〜極楽橋間にワンマン運転導入 今回のPart1ではこのうち(1)に焦点を当てて、徹底検証します。 ●問題の多すぎる特急誘導 ニュースリリースだけ読むと、特急がすごく便利になったのではないかと思うかもしれません。しかし、それには特急を利用しない乗客に相当な犠牲を強いていることを見逃すわけにはいきません。 まず、平日の19時以降の特急りんかんが金剛と各停で接続しようとする考えは良いことだと思います。しかし、金剛で各停に接続させるために、従来は北野田退避だった各停を3駅先の金剛まで無理やり逃げ切らせることになりました。従来でさえひどかった各停のケツ追いノロノロ運転が一層ひどくなり、難波〜河内長野までの特急の所要時間が昼間の急行より劣るレベルに落ちてしまいました (特に19時台はひどい)。そもそも、各停の逃げ切りダイヤは余裕ゼロで、金剛到着がたいてい2〜3分遅れ、それがそのまま特急の遅れとなります。この後、橋本までの区間で挽回を試みようとしても、ダイヤ自体がこれまでのロスを取り戻すべく全力疾走することを想定しており、回復運転は困難です。橋本駅には毎日2〜3分遅れで到着し、JR和歌山線へ乗り換える乗客はアナウンスで急かされながら階段を走らされる羽目に…。 次に河内長野での接続ですが、1つ前の優等列車を急行から区間急行に格下げし、さらに河内長野で長時間退避。特急が遅れると8分くらい止まることも珍しくありません。これで区間急行は難波〜林間田園都市までの所要時間が急行に比べ10分以上延びてしまい、難波から乗車している人にとっては、はっきり言って使い物にならない状態です。区間急行林間田園都市行きを名乗るのは失礼ではないでしょうか。「区間急行河内長野行き、河内長野で各停林間田園都市行きに変更」という扱いにしてはいかがでしょう? 問題は先行列車の格下げだけではありません。特急の後の優等列車も区間急行に格下げし、しかも特急退避の区間急行があまりにヘボくて列車間隔が詰まってしまうため、後の区間急行は三日市町止まりとしました。夕方の通勤ラッシュ時に、従来は林間田園都市以遠まで運転する急行が1時間6本あったのに、改正後は急行4本と区間急行1本の計5本に減便してしまうと言う”副産物”まで作ってしまいました。しかも、区間急行は実質使い物にならないことを考えると、実質は1時間4本です。つまり、特急の前後の優等列車をスカスカにして本数を減らし、それが困るなら500円払って特急に乗ってくださいと言わんばかりです。高野線の特急は全車指定席で、乗客の多くは不満に思いながらも500円払って特急に乗せられている感じがします。 まだあります。従来のダイヤでは先行する急行高野山極楽橋行きを特急が追うダイヤになっていて、橋本で追いついて極楽橋行きにすぐ接続していました。今回のダイヤでは特急を利用した場合には橋本駅で数分以内に高野山極楽橋行きと接続することになっています。しかし、特急を利用しなかった場合はどうなるでしょうか。上述したように先行する優等列車が区間急行に格下げされて河内長野退避になったため、橋本へはさらに1本前の急行に乗っておかねばなりません。そして、急行で橋本に着いた後、特急の到着まで15分以上足止めを食うことになってしまうのです。つまり、紀伊清水から先の各駅の利用者は、特急を使えば従来どおりの所要時間ですが、特急を使わなければなんと10〜12分も多く時間がかかってしまうことになり、こちらも結構残酷な施策です。 一方で土休日の特急増発については概ね評価してもよいでしょう。私も嫁さんと休日に難波へ出かける機会が増えましたが、荷物を抱えて疲れているときに、特急に乗ることができれば助かります。平日とは違って毎日乗るわけでもありませんし、エクストラを支払うことに抵抗も少なく、むしろ座席を確保できるありがたさの方が何倍も大きいです。この部分は南海の思惑と一致します。 ただし、これに関連して特急の威力を誇示するべく、先行の急行をわざわざ長時間退避させるダイヤが散見されます。例えば、土休日14:22難波発の急行橋本行きは林間田園都市で特急こうやの先発待ちをしますが、このためになんと8分間も停車します。これが大きく影響して、橋本までの所要時間は通常49分のところ59分もかかってしまうことに。これは上述の(2)とも関係する問題で橋本駅でのホームのやりくりが難しいことも一因でしょうが、あと2駅で退避しなくても難なく逃げ切れるのを無理から退避して長時間停車するのは、なんだか嫌味に思えます。 これではあからさまな特急誘導ダイヤと言われても仕方ないでしょう。 ●平日下りのロバスト性向上案 平日下り19時以降、従来の特急りんかんは橋本駅で乗り継げる以外に接続がありませんでしたが、今回のダイヤ改正では金剛や河内長野で接続することで利用者を増やしたいという狙いがあります。ですが、そのために特急の速達性まで大きくスポイルしているのはいただけません。そこで、このポイントに絞って処方箋を作ると次のようになります。 まず、金剛で退避する各停を白鷺退避に、河内長野で退避する区間急行を金剛で退避させます。そして、特急の難波発車時刻を2分繰り上げます(準急と入れ替え)。金剛と河内長野は3駅しか離れておらず、金剛と河内長野両駅ですぐの接続を用意するのは、今のパターンダイヤで考えると無茶でしょう。金剛で接続しておけば、河内長野でも3分ほど待てば電車は来ます。少なくとも従来よりは改善されるはずです。この考え方で作成した改善案は下の表のようになります。
ポイントは、特急りんかんの遅延が発生しにくくなったことと、退避列車の停車時間が減ったことです。特急りんかんの難波〜橋本間の所要時間は見かけ上ほとんど変わっていませんが、各停が無理やり金剛まで逃げ切るのをやめた分だけ、全体的にスムースに通り、ゆとりが生まれています。全体としてロバスト性が向上したと言えると思います。ちなみに現行の橋本着19:55はほとんど守れておらず2〜3分の遅延が当たり前になっていることを考えますと、ダイヤに表れている以上の効果が期待できます。是非、次のダイヤ改正で検討してくださいよ、南海電鉄殿。 ●さらに「特急に乗りたくても乗れない」期間が… 不満に思いつつも、電車ばっかりは嫌だからといって利用しないわけにはいきません。私もしっかり特急に誘導されることが多々あります。 しかし、これまたさらにひどい仕打ちが…。車両定期検査のため、土休日において一部ダイヤの特急が運転取り消しに。しかも1月中旬から2月末までは平日下り難波発19時台、21時台、23時台の特急りんかんは通常8両のところを4両に減らして運転されました。4両だと間違いなく積み残しが発生します。特急の前後のダイヤがスッカスカになって誘導しまくりなのに、その特急にすら乗れないなんてひどすぎるではありませんか。積み残しが出ても知らん顔、この期間の救済策は一切ありませんでした。 この期間中、特急りんかんに乗るには作戦が必要です。売り切れ満席とは言っても、駅の窓口で数枚確保していることもありますし、ホームの駅員さんが何枚か持っている可能性もあります。とは言え、これも発車直前には完全に売り切れますので、早めに入手したいものです。 さて、このダイヤ改正はお客さんが本当に望んだ内容だったのでしょうか。非常に疑問に思います。コンセプトは「徹底的に特急に誘導して儲けたい」南海側の都合しか見えてこないのですが…。こんなやり方して特急の乗車率が上がっても、絶対に行き詰まると思いますよ…。 (Part2に続く) 関連トピック Train Topics 第54話 高野線快速急行乗車レポート Train Topics 第53話 高野線ダイヤ改正レポート2003 Train Topics 第23話 高野線ダイヤ改正インプレッション
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