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Topic 第90話 南海高野線ダイヤ検証Part2〜路線分断が及ぼした影響〜 (06/03/14)

 今回のTrain Topicsでも、前回Part1に続いて、南海高野線のダイヤを検証していきます。今回は橋本〜極楽橋間でワンマン運転導入に伴う路線分断を中心にじっくり検証していきます。

橋本以南は”お荷物”認定!?

 南海電鉄が発表したプレスリリースの内容を復習しましょう。次のように書かれていました。
「難波からの急行は原則橋本止まりとし、橋本〜極楽橋間は安全面を確保した上で、ワンマン運転による2両の各停を運転開始しました。(ただし、特急こうやと快速急行は従来どおり車掌が乗務する直通運転を継続。) 」

ワンマン2両の各停・2300系
ワンマン2両の各停・2300系
(クリックすると拡大表示されます。)

 南海電鉄では、従来から不採算路線のワンマン化を進めてきました。岸里玉出〜汐見橋間、高師浜線、多奈川線、加太線、そして南海線のダイヤ改正で姿を消した和歌山港線の中間3駅 と、この4月から営業譲渡される貴志川線は以前からワンマン運転でした。高野線の橋本以南も南海電鉄の”お荷物”に認定された格好です。

 新型車両2300系が2005年春に高野線に導入されましたが、この新車導入は近い将来のワンマン運転に対応するためではないかとファンの間でも話題にな っていました。それにしてもこんなに早く導入されるとは思いませんでした。

 ワンマン運転と橋本での路線分断について、南海電鉄側のメリットを推測してみますと、車掌さんの人件費節約はすぐに思いつきますが、他にも、4両を2両に減らすことによる車両運用コスト削減、橋本での車両増結・解放作業を行う作業員の削減も考えられます。厳しい 経営環境に置かれている南海電鉄では、不採算路線の合理化が急務だったと思われます。

許容レベルを超えた不便なダイヤ

 従来は難波から極楽橋もしくは高野下まで直通運転していたのを取りやめて橋本で分断したため、当然ながら乗り換える必要があります。それだけならまだ良いのですが、ダイヤを よく見ると様々な問題が露呈しています。

 まずは乗り継ぎ時間が長い場合があること。基本的には10分以内の接続ですが、時間帯によっては異様に長くなります。個別に見ていきますと、
・平日上り橋本17:17着の各停橋本行きに乗車した場合、橋本からは17:40発の急行難波行きまで23分も待たされます
・土休日上り9:14着の橋本行きはさらに悲惨で、急行難波行きの発車4分後に到着し、次の9:43発までなんと29分も待つことになります。後続に9:39着の電車がありますから、9:14着の電車は難波方面へは何ら意味をなしていないことになります。休日の出かけたい旬時に非常に痛い…。
・土休日下り14:22急行橋本行きは、林間田園都市で特急退避のため8分停車してただでさえ時間が延びているのに、橋本の乗り継ぎで9分待ちし、紀伊細川での対向待ちでさらにロスするなどして、ケーブルカーを含めた難波〜 高野山の合計所要時間が従来の同時間帯のダイヤより 、なんと21分も増加(他のダイヤはこれほどでないにしても軒並み従来より所要時間増加)。
・土休日下りで16時台、17時台は特急誘導により、特急に乗れば極楽橋行きとそれぞれ3分、9分で接続しますが、急行を使えばそれぞれ18分、17分も待つことになります。
これだけでもはっきり言って許容レベルを超えた不便さです。

 さらにまだあります。かなりひどいのが平日朝の上りです。従来も、朝ラッシュ時の女性専用車両導入の関係で橋本で系統分断される時間帯がありましたが、今度のダイヤでは全てが分断 なので、橋本到着直後の熾烈な席取り争いに拍車がかかりました。ましてや、最も乗客の多い午前6時台後半から7時台に橋本に到着する列車が 、従来は約30分間隔だったのが今回は最大43分間隔となり本数が減った上、従来の4両が2両編成になっています。土休日にはなぜか4両運転も結構多いというのに、平日の朝ラッシュにもかかわらず、なぜか無情にもことごとく2両編成が割り当てられました。この仕打ちにはさすがに参った人も多いでしょう。この時間帯だけは4両 運転してもらうか、2両のままでもせめて15〜20分に1本(橋本〜高野下だけでいいので)を確保してもらうなど融通は利かないのでしょうか。

 そして、昼間は極楽橋行きが従来より1時間1本に減便(残りは高野下止まり)されていましたが、午後8時以降 も同様に減便されて極楽橋行きはスッカスカとなり、しかもご丁寧な特急誘導とのダブルパンチで、 急行利用の場合、橋本で平日なら12〜17分待ち、土休日に至っては17〜18分待ちは当たり前、最悪23分待ちなんてのもあります。これでは特急誘導ならぬ、実質的な特急”強制”であります。 沿線住民からも「寂れたなあ」「不便になったなあ」という声が多数聞かれます。当然じゃありませんか。

ホームが足りないため思わぬ副産物が…

 橋本駅ではワンマン運転2両の各停はホームの東端に停車しています。駅の改札口を通ってから乗車するまでの間に陸橋の階段を渡り、さらにホームを40m余り歩かなければなりません。一見すると電車が止まっていることに気づかないので、初めて利用した人は要領が分からず乗り遅れたりすることもあったようです。

 そこで、ダイヤ改正から3ヵ月後、ホームの見やすい位置にLEDの案内表示を追加することになりました。電車の時刻だけでなく、停車位置まで図示されて いる珍しい表示方式と思います。

 一方で、4両の特急の停車位置がホーム東側から中央に寄せられ、階段に近くなっています。なのに2両の各停はなぜこのような不便な停車位置にしているのでしょうか。これは橋本駅のホームの数が2つしかなく、 難波・極楽橋の両方面から発着する列車をやりくりするための事情と考えられます。

橋本駅に設置された列車位置も図示した案内表示
橋本駅に設置された列車位置も図示した案内表示
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 例えば、各停極楽橋行き2両ワンマン電車が既に停車しているところへ、難波方から橋本止まりの急行と特急りんかんが到着する、従来と同様の乗り継ぎパターンを維持しているダイヤがあります。従来であれば、 直通の急行を橋本で切り離すので、急行と特急の2つ分のホームで足りました。しかし、今度は2両の各停に、急行と特急が相次いで到着する ため、3本の列車を2つのホームに入れる必要があります。

 このときの窮余の一策として、まず橋本止まりの急行はS車6両編成としておき(8両は不可)、ワンマン2両が停車しているのと同じホームへ無理やり進入させます。 そのため、2両の各停はあらかじめホームの端に寄せておき、急行は橋本駅の手前で場内停止を食らった後、誘導信号によって15km/h以下の速度でゆっくりと進入していきます。 そのロスが影響して、急行の所要時間が”無駄”に2分ほど延びてしまうという副産物まで作ってしまいました。

●歓迎すべき点はあるが全体としては問題の多すぎるダイヤ

 ここまでダイヤ改正の負の面を強調して書いてきましたが、当然ながら中には歓迎すべき点もあります。前回書きました土休日の特急増発以外に、平日の朝夕に 難波〜橋本間の急行が大幅に増加したことです。朝は午前8〜9時台に計2本増発し、さらに夜21時台でも従来の1時間2本から4本に増便したのは評価できます。橋本駅利用者には大きな恩恵をもたらしました。
 また、区間急行の復活についても大阪狭山市や千代田の利用者にとっては乗り換えなしのメリットがあることでしょう。

 しかしながら、本レポートで2回に渡って書き続けてきた内容は、いずれも乗客に大きな痛みを強いるものであり、それも我慢の限度を超えたレベルと考えます。高野線にはライバル路線が実質存在しないからまかり通る施策とは言え、全体としては問題が多すぎると言わざるを得ません。

 商売をやる以上、厳しい経営環境の中で利益を創出しなければいけないし、合理化も進めなければならないのは理解します。でも、その際にはお客さんにできるだけ迷惑をかけないことをまず念頭に置くべきです。ほんの少しの工夫で大幅に改善できるはずです 、大きな投資をしなくとも…。今般、同社は2006年度の「お客さまモニター」を募集したと聞きます。利用者が今回のダイヤをどのように受け止めているのか、 アンケートをすれば厳しい意見が出るのは間違いないでしょうが、南海電鉄には顧客の声に耳を傾け、その声を真摯に受け止めて欲しいと思います。そして、早期に次のダイヤ改正に反映させて欲しいと強く願う次第であります。

(南海高野線ダイヤ検証 完)


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